
ヤシゲユウトとビアンカサユリが手掛ける「テンダーパーソン(TENDER PERSON)」が6月26日、2022年春夏コレクションを初のランウェイショー形式で発表する。ミュウミュウ 服 コピー会場は、東京・渋谷のミヤシタパーク内にオープンしたカルチャーハブステーション「オア(OR)」。計2回のショーには、バイヤーやメディア関係者、インフルエンサーなど、スタンディングを含めて約140人を招待する予定だ。
またランウェイショーは、「OR」が12のファッションブランドやアーティストと定期的にコラボレーションし、その利益をSDGs団体に寄付するプロジェクト「MOVEMENT by OR」の一環として開催。ショー翌日の27日からは、ブランドのアーカイヴを販売するポップアップイベントも企画する。
文化服装学院在学中にブランドを立ち上げ、2016-17年秋冬から本格的にコレクションをスタート。昨年2月には初の旗艦店兼アトリエを南青山にオープンするなど、着実にステップアップを続ける「テンダーパーソン」。すでに12シーズン目を迎える彼らに、コロナ禍でショー開催を決断した理由と日々のクリエイションについて聞いた。
コロナ禍で初のショー開催を決断した理由
―今ショー開催に踏み切った理由は?
ビアンカ:直接的な理由は、知り合いから「ORという新施設がオープンしたけれど、コロナ禍で営業ができず、認知度も低いため何かやりたい」と話をいただいたことでした。ファッションや音楽、カルチャーを絡めたイベントは、今ほぼ出来ていない状況。その中で「私たちが出来ることは何か」を考えて、ショーという答えに辿り着きました。
ヤシゲ:会場を下見して「ここをモデルが歩いたらカッコいい」と直感で想像できたことも大きかったです。さらにもう1つの理由は、2020-21年秋冬にパリの展示会に足を運び、2021年春夏から海外での発表も考えていたのですが、その最中に新型コロナの影響が出始めて「目標を失った感」があったから。自分たちと向き合う時間が増えて、次のステップを模索していたときに声をかけてもらったのがこの企画で、ブランドとして色々な準備が整ったタイミングでもありました。
―以前は「コレクションはヴィジュアルでも表現できる。ショーは時期尚早」と語っていましたが。
ヤシゲ:「ショーは全く考えてない」と言っていました。レーシングスポーツやポリスウェアをテーマにするなど、これまでは自分たちの好きなことや気になることにフォーカスして、自己紹介の意味を含めてコレクションを製作してきましたが、2021年春夏はブランドスタートから10シーズンの節目。自分たちが影響を受けてきたものや26年間で見てきたものを色濃く落とし込んで、より作品性を持たせたいという気持ちに変化しました。
―その"変化"を踏まえて、2022年春夏のイメージは?
ヤシゲ:2021年春夏と秋冬は、「アンビバレンス バランス」という共通のテーマでコレクションを発表しましたが、2022年春夏も同じ。出し切れるまでこのテーマと向き合います。ショーまではあえてイメージを固めず、最終的にどんな感じになるかギリギリまで絞り出し、より良いものを完成させたいです。
ビアンカ:「アンビバレンス」の意味は、「真逆の感情を同時に抱く」。ディテールでは、ワークウェアとフリルをミックスして1つのスタイルに昇華させたり、カラーリングで補色を組み合わせたりしています。素材には、ベロアやフリルを多く採用。アイテムは、カラーパンツやフレアパンツ、ファイアーモチーフのものなどが登場します。ショーではじめて私たちを知る方もいるので、"ブランドらしさ"を感じてもらえるようなスタイルやアイテムは、きちんと見せていこうと考えています。
―コレクション発表のタイミングもかなり早まる。
ヤシゲ:2021年秋冬シーズンの業務が終わったのが4月中旬。次のショーまで準備期間が約1ヶ月しかないため、かなり多忙です(笑)。
ビアンカ:海外を目指す上で、コレクション発表のサイクルを変える必要性を感じていましたが、きっかけがないと頑張れない。これまでもヤシゲに「もっとスケジュールを巻いて、海外に標準を合わせよう」と話していましたが、結局出来ませんでした(笑)。
―ショー準備の段階で、すでに理想と現実的なギャップを感じることも?
ビアンカ:ショーをしたいと思いはじめたのがつい最近なので、もともと理想というものがありません。ギャップはさほど感じておらず、むしろ今作っている服がショーで見せられたら、さらにおもしろいだろうな、というワクワク感の方が大きいです。
―"ショーで魅せる"ことを考慮して、アイテム構成などに変化は?
ヤシゲ:変化はありません。ルック撮影のときも、制作段階からスタイリングをイメージしているのは1~3体くらい。逆に、それで構成やデザインが変わるのも嫌だなと。「ショーで登場したらカッコいいよね」というアイテムは確かにありましたが、そこはブレずに自分たちを信じて作っていきます。
―ショーの費用は?
ビアンカ:すべて実費です。技術協力としてメイクアップは「スリー(THREE)」、ヘアは 「トニーアンドガイ(TONI&GUY)」がサポートしてくれます。